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『 雨に濡れたKISS 前編 』

【文章】みー  


朝から雨が降っていた      …あの日、君と初めてキスを交わした。

あの頃の俺は、会う度に綺麗になってく…君の姿に焦りを感じ始めていた。

恋を否定する君は誰のものにもならないって…
どこかで安心をしていたくせに      
俺だけがわかっていればいいと思っていた君の魅力を
知る男たちが増えてきて…
そんな男たちのアプローチに君は無防備すぎたから…
誰かに強引に奪われてしまうんじゃないかって不安さえ抱くようになった。

どんなに忠告しても、それが君自身の魅力なんだって認めようとはしなかったから…。

そんな君にさせたのもアイツなんだって思う度に腹が立って仕方がなかった。

      どうしてアイツにこだわる?
あんな奴、早く忘れてしまえばいいのに…

昔と変わらず…君の心に大きく居座るアイツ。
君がアイツに抱く表裏一体のその感情(憎しみ)が俺にとって脅威だった。

そんな君との関係はといえば         
彼女の特別になれるんじゃないかって…錯覚しそうな距離にいながら、
それ以上は前にも後ろにも進めない…そんな関係だった。

     それは…突然の出来事だった。

その日は彼女が出演してるドラマのテレビ局での仕事だった。

キョーコちゃんも撮影で来てるよって…社さんが云ってたから、空き時間に顔を出そうと思ってた。

仕事の途中でも、気がつけば…無意識に君の姿を探してる俺がいた。

そんな自分の行動に苦笑しながら、自覚する。

この病は、もう俺の全身を蝕んでるらしい…。
目も、耳も…体中が彼女を求め、その気配を必死に探してる。

そんな俺だから、すぐわかってしまったんだ…。

       少し離れた曲がり角、不破に抱きしめられてるのが君だってことに。

それを目にした瞬間…体を引き裂かれるような痛みが走った。
そして、同時に込み上げるどうしようもない怒り    
今すぐアイツから彼女を引き剥がしたいって…そんな強い衝動に駆られた。

だけど、その時の俺はスタッフと移動中で…そんな行動を取れば、あの子に迷惑をかけてしまう。

    アイツに抱きしめられてるのが…彼女だってわかってしまう。

「…なぁ…あれって不破じゃないか?…相手の子は…」

「なになに? ヒュゥウゥ~~ッ 熱愛発覚か?!」

「…それにしても、こんなところで…若いなぁ~ ハハハ」

そんなスタッフたちのどよめきに…社さんがぎょっとしてる。

ここからは後ろ姿しか見えない…だけどその髪色だけで誰だかわかってしまう。

頼んでもないのに彼女の情報を逐一報告くれる彼は、優秀なマネジャーだから、
瞬時にこの状況を理解して、二人の姿を隠すように体で視界を遮って、さりげなく話題を逸らせてくれた。

こうして俺たちは何事もなかったように用意された控え室へと向かったんだ。
スタッフを見送り、二人きりになった瞬間…社さんが心配そうに俺を見上げて話し掛けてきた。

「…蓮、大丈夫か?…俺、今からちょっと様子を見てくるよ?」

本当は…大丈夫なんかじゃない…今すぐ確かめに行きたい。
だけど、仕事に穴をあけるわけにはいかない。

「…大丈夫ですよ?」

クスッと…そんな本音を隠すように微笑んでみせた。
さっきのスタッフの声は聞こえていたはずだから、きっと…もうあそこにはいない。
駆けつけたい衝動を押さえて、俺は仕事に集中することにした。
俺にできる事は…その日の仕事をリテイク無しで終わらせることしかなかったから。

なのに…そんな仕事の合間にもさっきの場面が不意に甦る。

どうしてアイツが…?なんで…あの娘は…あの後どうなった…?

考えても答えの出ない疑問が…俺をどんどん不安にさせていく。
あの状況に至った最悪のケースを思い浮かべ、どうかこの不安が俺の思い過ごしであってほしいと願った。
仕事が終わるとすぐに、俺は彼女に電話を入れた。

「・・・聞きたいことがあるから、(今から)時間を作ってくれないか?」

そんな突然の申し出に彼女の声が上ずって、動揺してるのがわかった。

「・・・今日、ですか?」

時刻は12時を回ってた…でも、これ以上…こんな気持ちのままでなんていられなかった。

「迎えに行くから…今どこにいる?」

有無を言わせない物言いに、戸惑いながらも居場所を教えてくれたが、結局、気を遣った彼女が俺のマンションまで来てくれることになった。

深夜の高速道路…ワイパーがフロントガラスに落ちる雨を弾く。
家路へと急ぐ濡れた道を、前を走る車のテールランプが赤く染めている。

     今ならまだ間に合う…?

事態は急変した…もう悠長になんてしていられない。

アイツの中で、彼女の存在が変わったことに気がついてたくせに…

        俺は何をしてた?

今までも俺が気がつかなかっただけで、アイツは彼女に行動を起こしていたのかもしれない…
そう思った途端、どうしようもない焦燥感が俺を襲った。

彼女を渡したくない…譲れない想いに突き動かされて、俺はマンションへと急ぐ。 

マンションのエントランスに、可愛らしい傘を差した女性が立っているのが見えた。
それが彼女だと確信した俺は、車から降りて…静かに近づいていった。

シトシトと降り続く雨に濡れながら、彼女へと近づいていく。
こんな夜遅く…雨の中、彼女を呼び出したことに少しだけ胸が痛む。

顔を隠すように深く傘をさしていた彼女は、俺の存在に気づかない。

そっと覗きこむように屈んでみると、彼女の頬は濡れていた。その頬を濡らしたのは…雨じゃなく温かい雫。

「…何があった…?」


→ 後編へ続く

2012.5.31 アイミル掲載作品
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