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Trick and Treat


恋という恐ろしい魔法が少しずつ私の体を蝕んでいく…

そして、身を守るはずだった仮面が私と彼との距離をゼロにしてしまった      。 


秋の訪れとともに街のショーウインドーを飾るのは、
ジャック・オ・ランタンに、おばけや魔女といった…ハロウィンの魔物たち。

だけど、一番手強い魔物はきっと目の前にいる…兄さんだ。

今日はハロウィン。
だから、兄さんでも食べやすいように、ひとくちサイズのパンプキンパイを作った。

『イギリスにいた頃は一緒に仮装したな…』

なんて言われたら、準備をしないわけにはいかない。
だから、私はこんな格好で…兄さんの帰りを待ってる。

( は、恥かしい/// ) 

鏡の前でくるっと一回りしてみると、黒い尻尾がふわりと揺れた。

「…うにゃぁ~っ///」

ミューズに相談したら、用意してくれたのがコレだった。

セクシーな黒猫コスは、確かにセツに似合ってる…とは思う。

だけど、ファーとシースルー素材のミニドレスは、体のラインを見せ付けるようなデザインで、慣れてきたとはいえ、短すぎるスカート丈がやっぱり気になる。
そんなスカートにふわふわとしたファー素材の尻尾…
お揃いの猫耳と手首、くるぶしからふくらはぎまで覆うファーがすごく可愛い。

可愛いけど、この姿をあの人の前に晒すのかと思うと…
何を言われるのか想像できるだけに顔が赤くなってしまうのよ…///。

     …だけど、こんな感情も、セツになれば平気。
大丈夫よ、今までだってずっと大丈夫だったんだから、
そう自分に言い聞かせて、私はあの人の帰りを待っていた。

急な仕事が入ったからと、途中で敦賀蓮に戻ることになったあの人と別れて一足先に戻ってきたホテル…

もうそろそろ、帰ってくる時間だと時計を確認しながら…
焼き上がったパイをひとつ口の中に放り込んだ。

「ん、おいし…」

パイを味見してると、ドアが開く音がした。

その瞬間…条件反射のようにスゥーッと私はセツになった。

そして、焼き立てのパイを1つ手にして兄さんの前に立ちはだかった。

『お帰り、兄さん…』

この格好を見れば、当然のようにお決まりのあの言葉が返ってくる…。

そう思っていたのに、兄さんがアタシに言ったのは        

***

深い深い暗闇の奥底、眠らせておいた本能を揺さぶり起こしたのはあの娘。
凶悪なほど可愛いその姿に、理性が飛びそうになる。

お決まりのセリフを期待して待ってるあの娘に、わざと言った。

『Trick and Treat』

お菓子をくれても悪戯するぞ…って、言った後、ニヤリと笑ってみせると、彼女が手にしていたパイを指ごと口に含んだ。

手を掴んで…咥えたままの指先を舐め上げるとビクッと体を震わせて慌てて指を引っ込めた彼女。

真っ赤になって動揺してるのが可愛いくて堪らない。

もっともっと…困ればいい。俺を意識して、俺だけに囚われてしまえばいい…。

そんな思考に囚われながら、彼女の反応をみていると

『もぉっ/// 兄さんったら、アタシごと食べるつもり?』

無意識に俺を煽る彼女の言動や振る舞いに理性はとうに限界を超えていた。

甘えるように擦り寄って上目遣いに腕を絡めるセツは、気まぐれな猫。

その猫が、首元につけていたのは俺が贈った首輪。

カインとしてセツに贈った鎖のついたその首輪(チョーカー)は、俺のものだという証(しるし)。

飼い主以外に尻尾を振ってるつもりはないんだろうが、無防備に他所の男も煽るから目が離せない困った猫だ。

だが、仮初の首輪ではセツしか守れない。

あの娘のすべてをその鎖で縛れたらよかったのに       

一緒に過ごす時間が俺の中のあの娘を大きくしていく。

溢れ出したのは愛情だけじゃなく、狂気にも似た激しい独占欲。

『可愛すぎるお前が悪い…』

境界線を超えてしまった魔物は、罠を仕掛ける。

カインが望めば、あの娘は否定できないとわかっていて…

『…本気?アタシは構わないけど…』

うっそりと相槌を打って、その身を俺に委ねようとする。

どこまでも、喰らいついてくる彼女の…
クオリティの高い演技とプロ意識に俺の方が音を上げそうだ。

ドクドクと脈打つ血流が滾っていくの感じながら、
俺はそんなセツに目隠しをして…ベッドに座らせた。

『目隠し…だなんて、なんだかドキドキするわ』

クスッと微笑むセツに…獲物を捕らえた魔物が冷やかに笑う。

その余裕…いつまで持つかな?

ポケットの中から包み紙にくるまれたチョコを取り出すと…
その音に反応したセツが訊いてきた。

『ん…この香りは…チョコね?』

『あぁ…口を開けて、そうだ、舌を出せ』

***

ドキドキと激しく高鳴ってる心臓の音、セツを演じ続ける私は言われるがままに口を開けた。

ぬるりと口の中に入り込んできたもの…
少しほろ苦いそのチョコレート共に入り込んできた温かくて柔らかいその感触には覚えがあった。

だけど、あの日と違うのは…抗えないこの感情だ。

彼にキスされているのだと思ったら…振り解けなかった。

セツとしてもそれは正解…むしろ、自分から求める位かもしれない…

自然と彼の背中へと腕を回してしまった自分を肯定するように、
これは演技なのだと言い聞かせる。

だけど、私を翻弄する彼のキスは、私の舌を絡め取るように口の中を縦横無尽に蹂躙して…
ほろ苦いチョコさえも甘く感じさせてしまうほどで…
すごく、気持ちがよかった///。

大好きな兄さんからのキスは…私の心をきゅぅっと締め付けた。

アタシの髪を撫でる優しい指の感触も、兄さんの仕掛けた残酷な悪戯。

これは芝居だとわかってるのに、心が勝手に喜んでしまう…愚かな女。

まるであの日を上書きするような行為…期待なんかしちゃダメなのに

どうして、キスなんて…溢れ出した涙が頬を伝い堕ちる。

     …暗い暗い闇の中、迷子になっていたのは私の方だった。

どこまでも続く暗闇の中で…あなたに愛されたいとずっと願っていたのに

私はアタシの中にいるのに       
見ないふりをしてずっと閉ざしてきたのに

           こんなに近くにいるのに遠い。

セツにとって嬉しいはずの行為が、喜べない。

これはお芝居だから、本当の私にあの人は手を出したりなんかしないから。

悪戯…行き過ぎた芝居…それがこのキスの意味。

『…なんで泣く?』

目隠しを外されたアタシは役さえも剥がれ落ちてしまった…

そんな顔を見られたくなくて、彼の胸に抱きついた。

私を抱きしめる優しい手、甘く耳に響くテノールで彼が問う。

     俺が好きか?』

…わかりきった答えをわざと言わせようとするのはなんで?

意地悪な質問…その真意は、私の気持ちに気づいているから?

( ダメだ      もう、セツにはなれない。)


そう思ったとき         

「俺は…君が好きだ…」

日本語で話しかけられた。
驚いた私が顔を上げると…そこにいたのはあの人だった。

私を見て優しく微笑んだ彼は、セツじゃなく私に云った。

「俺を好きになって欲しい…いや、させてみせるから」

そういって、泣いてる私にまたキスをした。

目隠しをとった魔物はアタシを盲目にするつもりらしい。



~ FIN ~



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