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敦賀蓮ウィッグをつけた俺に彼女が言った。

「今日から本格的に2足の草鞋…忙しくなりますね。」

ヒール兄妹、本格始動…俺のカイン・ヒール二重生活が始まった。

正直なところ、世界に愛を蔓延させるのが趣味の社長が…
何を企んでるのかはわからないが…なんだかんだ言いながらも
彼女と過ごす時間を、楽しみにしている俺がいる…。

「君だって…そうだろう?」

そういった俺に苦笑いをする彼女が…少しだけ、疲れた顔をした気がした。
その理由には気づかない振りをして、俺は覚えたてのポーズでおどけて見せた。

「ドドスコスコスコ…ドドスコスコスコ…

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「敦賀さん…どうしちゃったんですか~~っっ?!」

ぎょっとした顔で驚く彼女にしれっと言った。

「いや、さっきの番組で共演した彼がやってて…おもしろいなって…」

君が笑ってくれるかなって…思ってやってみたんだけど…

「…けど、敦賀さんのイメージが崩れますよ!!」

「ん?…そうかな?」

「そうですよ!!私だからいいようなものの…他の人が見たら…」

「そうだね。俺の愛を注入したいのは君だけだしね?」

「ほぇっ?///」

間抜けな顔で頬を染める君…につい、頬が緩みそうになるけど…
真面目な顔で言葉を続ける。

「ラブミー部の君には…愛が必要だろう?
早くそのつなぎを脱げるようにならないと…一流の女優にはなれないよ?」

「えっ…えぇ?!…うー…確かに一流の女優になる為には…
そう…かもしれないですけど…」

戸惑いの表情を浮かべる君に近づいて…耳元でそっと囁いてみる。

「だよね?早く…そのつなぎを脱げるように…いや、俺が脱がしてあげようか?」

「エ…エェ~??…あの、その…」

不自然な程カクカク…と体を強張らせる彼女に妖しく微笑んで…

「先に脱がせて…ってのもアリだよね?」

「え///やっ…あのっ…ちょっと敦賀さん??なんかキャラが違ってませんか~~??」

そういって目をグルグルさせる彼女の姿を見て…思わず噴出しそうになる…。

…そんな俺に気付いた君がまたからかったんですね~って…怒り始めた。

その顔が可愛くて、可笑しくて・・・つい本音が零れてしまった。

「だけど…いつか俺が脱がせてみせるから…覚悟しておいて?」

クスッと笑った俺に頬を染める君…そんな君の頬に
ちゅっと優しくキスをすると、恥ずかしそうに俯いた君が静かに頷いてくれた。

***

「!!」

・・・ここは・・・?

目をぱちくりさせていたら、隣りから彼女の声が聞こえてきた。

「…兄さん?どうかしたの?」

兄さん・・・?

隣りを見るとそこにはセツがいて…窓から流れていく風景に
ここがタクシーの中だったことを思い出す…。

そういえば、カインの時はタクシーで移動だったな…。

「…夢だったのか…」

そうポツリと呟くと、興味深々といった顔でセツが訊いてきた。

「夢?…どんな夢だったの?何だかすごく嬉しそうな顔してたけど?」

覗き込むように首を傾げて訊いてくるセツに・・・小さな声でぼそっと呟いた。

「…らぶを注入してた…」

「?!」

大きな目をぱちくりさせてびっくりする彼女に…思わず笑みが零れる。
俺が踊っているところを想像した彼女が噴出し、和やかな空気が広がる。

今はまだ、云えないけれど…

いつか…俺の愛が君に届くように…らぶ注入…してみるのも悪くない…ね?

~ FIN ~

素敵イラストは ミシャさん(skip叙事詩)から頂きました。
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